中国への移住 3

中国での生活に慣れるのにあまり時間はかからなかったと思う。同じ東アジアの国なので、雰囲気が似ている。中国に来る前にWeChatとAlipayはインストールして準備していた。この2つは中国で生活するのに必須で、空港からの地下鉄に乗るために早速Alipayを使った。

地下鉄には切符を買って乗ることはできるものの、ほとんどの人はAlipayのQRコードを使う。決済用のQRコードとは別に杭州地下鉄用QRコードがあり、そのコードを改札機に読ませる。切符は一度だけ使ったことがあるが、磁気切符ではなくプラスチックカードになっていて、入場の際はICカードの要領でタッチして使い、出場の際に改札機で回収される。地下鉄に乗る前に簡単な手荷物検査があり、カバンは検知器を通さないといけない。飲み物は検知器に引っかかるので、検査員に渡して確認してもらう。最初はどうすれば良いか分からなかったので、飲み物が引っかかって検査員に呼び止められたが、何と言われているか分からないので、分からない顔をしていたら通してもらえた。改札内は飲食禁止らしいが、明示的に書いてあるのを見たことはない。地下鉄はだいたい100円くらいで乗ることができる。

バスもAlipayを使って乗ることができる。地下鉄と同様に杭州バス用のQRコードがあり、それを乗車時に使う。バスは50円くらいで乗ることができる。こちらでは高徳地図という地図アプリを使っているが、バスを使う経路案内では乗車予定のバスの現在地が表示されるのでわかりやすく便利だ。

移動で最もよく使うのはシェアサイクルで、これもAlipayを使って利用することができる。乗り捨てられている青色の自転車のQRコードをスキャンすると、自転車が解錠されて使えるようになる。30円程度で利用できて、使い終わったらそのまま乗り捨てられる。青色のシェアサイクルの他にも赤黄緑のシェアサイクルがそれぞれあるが、それらの使い方は分からない。

飲食店での注文会計もAlipayを通じてできる店が多い。テーブルに貼ってあるQRコードをAlipayで読ませると、アプリ内でメニューを見て注文してそのまま会計ができる。そうでない店では口頭で注文しなければいけないので言語的なハードルが高いが、QRコードがある店では口頭でコミュニケーションを取る必要がないため、外食するときはテーブルにQRコードが貼ってあるかを確認してから入るようにしている。杭州にはすき家、サイゼリヤ、マクドナルド、バーガーキングなど馴染みのある飲食店が多くあり、これらに行けばとりあえず間違いないものが食べられる。杭州現地の食事は油っこくなく、辛すぎもせず、日本の中華料理に近い味で美味しい。たまに見た目に反して甘いスープなどがあり、それは苦手だなと思う。食器調理器具を揃えたり処分するのが面倒なので、食事は学食か外食で済ませている。学食は一食300〜600円くらい、外食は一食500〜1000円くらいで食べられる。

スタバもたくさんあるのでよく利用する。スタバのアプリからモバイルオーダーできるので、口頭で注文する必要がなく便利だ。自宅近所のスタバは休日でも空いているが、他の場所では混んでいたりする。コーヒーチェーンは他にコスタもある。上海にはコメダがあるらしい。中国のコーヒーチェーンにLuckin coffeeというのがあり、学内にも店舗がある。モバイルオーダーができて比較的安いので利用するが、店内に席がないことがほとんどなので、休憩のために利用するには向いていない。

WeChatはLINEと同じようなもので、日常的な連絡をする他に、健康診断の予約に使うこともある。特に若い人たちでは、WeChatの表示名と本名が全く違う場合がほとんどで、連絡先を交換しても誰が誰だか分からなくなるのが困る。

他に中国で必須なものといえばVPNで、これが無ければGoogleが提供するBloggerのサービスを利用することもできない。最初は1coinVPNだけ使っていたが、不安定な期間があったため、かべネコVPNも併用していた。かべネコの方が安定しているが、通信が遅くなることがあって不満だったので、最近日本のサーバーを借りてVPNサーバーを建てた。VPNサーバーの建て方は今後記事にまとめようと思う。Twitterの画像読み込みがスムーズになって快適になった。今はさくらのVPSのお試し期間だが、通信速度があまり出ないのはお試し期間だからなのだろうか。他のサービスも比較検討している。念のために2回線持っておきたいので、日本とアメリカかどこか別の国のサーバーを借りようと考えている。

VPNに常時繋いでおくことになるので、スマホの充電の減りが早くなるのには注意しないといけない。1日中外出する日は充電が足りなくなる。日本にもあるようなモバイルバッテリーの貸し出しサービスはあるが、使い方が分からなかったりするので、自分でモバイルバッテリーを準備した方が良い。こっちでモバイルバッテリーを買ったが、電圧が低く充電速度が遅いので、日本で安心できるものを買った方がいい。

買い物するときにどこに行けばいいか分からないという問題がたまにある。日本のような家電量販店は中国にはなく、それぞれのメーカーがそれぞれ店舗を出すのが一般的だ。モバイルバッテリーくらいであればスーパーマーケットやコンビニで見つけることができる。コンビニは、ローソン、ファミリーマート、セブンイレブンがあり、辻利の抹茶チョコ饅頭のような日本の食べ物も売られている。生活用品を買うにはニトリ、無印良品、ユニクロに行けば事足りるが、小窓用のカーテンや玄関に置くセンサーライトは探しても売っておらず、こういった小物はどこに行けば買えるのか分からない。タオバオを使えば良いのだろうが、タオバオを使うには中国の銀行カードが必要なので最初のうちは使えなかったし、そのまま今も使っていない。

中国語は全く勉強せずに来た。当然勉強してから来た方が良いが、現地にいる方が勉強するモチベーションが高まるので来てからでも良いと思う。話せなくても生活はできるが、話せた方が良いので勉強する気になる。今は主にDuolingoで勉強して、補助的にHSK単語帳アプリとHello Chineseも使っている。話せなくても翻訳アプリを使えば大丈夫で、接客業をしている人たちは翻訳アプリを使うことに慣れている。

実際、翻訳アプリだけで携帯電話の契約と銀行口座の開設はできた。こういうのは大抵現地の人に手伝ってもらうものだが、一人で行ってみたらできた。日本にいる間に留学生や外国人ポスドクの銀行口座開設を手伝ってきた経験から、どういう手続きがあるかだいたい想像できたので不安はなかった。携帯の契約で氏名とパスポード番号の登録間違いがあり、携帯番号を介した認証が通らなかったため、しばらく銀行カードが使えなかったのは不便だった。飲食店ではAlipayで注文から会計までできると書いたが、店によっては外国のクレジットカードが使えないことがあり、店員とのやりとりが必要になることがあった。(QRコードを読むとAlipay内でmini appが立ち上がり、そこで注文会計をする。Mini appの仕様は店次第で、会計まで進んでから外国のクレジットカードが使えないと表示が出ることがある。この場合でも、店頭でQRコード決済をすることは可能なので、店員にその旨伝えれば会計できる。)

中国は東アジア文化の源流地であると認識していて、党も民族の偉大な復興を目指しているので、中国では中華文化に触れることを期待していたが、現地に来てみると西洋文化の影響が大きいと感じる。西洋文化に染まることを党は悪く思っていないのか疑問だったが、党が目指しているのは文化の復興ではなくて世界の覇権を取ることなのではと感じる。杭州は都会なのでポルシェフェラーリメルセデスなど高級外車がたくさん走っているが、そのそばでUberのような宅配のスクーターが群れをなして走り1分1秒を争って赤信号を突っ切っていくのは対比的で、これを見ると共同富裕のスローガンを打ち出す意味がよくわかる。

この国は思っていたより暮らしやすく、生活費が安いため金銭的に余裕があり、研究のための計算資源も豊富にあるため、現状には満足している。この国を巡る国際情勢は色々と問題があって、今年はアメリカ大統領選挙もあるので事態が大きく動くかもしれない。移住して国際関係の問題に巻き込まれてしまっている以上、ここでの任期中は何事も起こらず無事に暮らせればと思っている。

コメント

  1. モバイルバッテリーはあれから買い直したんですか?

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    1. モバイルバッテリーの件は解決しました。日本で買ってもらいました。

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    2. 解決してよかったです。記事も興味深かったです。

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